諦めるからこそ、新たな道を選択できる。

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元陸上選手の為末大さんの「諦める力」を読んでみた。

諦める力

「諦める」という単語を辞書でひいてみると、

もう希望や見込みがないと思ってやめる

とある。「希望がない」という言葉には非常にネガティブな印象を受ける。

しかし、諦めることも重要だというのが本書の主張だ。「希望がない分野」はささっと諦めてしまい、「希望がある分野」に集中したほうがよい。諦めるからこそ、新たな挑戦ができると説く。

為末大さんは当初は短距離走の選手であったが、全力で取り組んだが結果がでず諦めた。そして、ハードル競技を選択し、優秀な成績を収めることができた。諦めるから、別の道が開けたのである。

諦めるということは?

本書の一部を引用して、「諦める」ということは、どういうことなのかを明らかにしたい。

何かを「やめる」ことは「選ぶ」こと、「決める」ことに近い。もっと若いころは「やめる」ことは「諦める」こと、「逃げる」ことだった。

「諦める」という言葉を、「逃げる」との意味合いで使うと非常にネガティブに聞こえる。しかし、古いことをやめるから、新しいことを始められる、と考えることもできる。選ぶや決めるというと、急にポジティブな言葉になる。

道は一つではないが、一つしか選べない。

どの道を進むかは、ひとつ選ばなければならない。他のたくさんの道を諦めるから、自分が選択したひとつの道を進むことができる。

Aという道を行きたければ、Bという道は諦めるしかない。最終的に目的に到達することと、何かを諦めることはトレードオフなのだ。何一つ諦めないということは立ち止まっていることに等しい。

どの道も諦めていないということは、その道を進むかを決めていない。諦めるとは、新たな道を歩むのに必要で、新たな道を選択することと同じである。

諦められない理由とは

そうはいっても、人間はなかなか諦めの決断ができないときがある。なぜ諦めができないのであろうか?

人間が何かを選択するときに悩むのは、何を選んでいいかわからないからではない。自分にとってより大切なことが何なのか、判断がつかないから悩むのだ。

諦めるにも、決断力が必要だからだ。自分の価値や基準が確立していないと決断できず、諦めることもできない。

人間は本気で挑んだときに、自分の範囲を知る。手加減して飛べば本当はどのくらい飛べたのかがわからない。

自分の価値や基準が確立されていないのは、自分をよく知らないからだ。自分をよりよく知るためには、物事に対して本気で挑まなければならない。生半可な挑戦では、自分を知ることはできない。

全力で試してみた経験が少ない人は、「自分ができる範囲」について体感値がない。ありえない目標を掲げて自信を失ったり、低すぎる目標ばかりを立てて成長できなかったりしがちである。

自分を知らないと、絶対的な基準がない。

真剣勝負は、厳しい。だめなものはだめ、負けは負け。だけど真剣勝負に挑んで敗れることで見えてくる新しい基準がある。

複数の選択肢があっても、判断基準が明確だったら悩まない。なぜならば、判断基準に準じて、選択肢を評価していけばよいからだ。判断基準が明確があるから、今をあきらめて、別の道を進むという判断ができるようになる。

諦めれないのは、本気で取り組んでいないからだ。全力で挑んで、結果がだめだったら、ようやくその道をあきらめるのである。

諦められる人は、全力で挑戦した結果なのだ。

諦める場面とは?

諦めなければならない瞬間は二つある。

一つは才能がないと悟ったときだ。人間は得意のこと、不得意のことがある。不得意なものには才能がないから、その道は諦めたほうがよい。

二つ目は、その世界では生きられないと悟ったときだ。自分の才能があっても、もっとすごい才能の持ち主がいた場合は、その世界ではいきられない。

例えば、為末大選手のように、ハードルの選手よりも、短距離走のほうが才能があると思い日本で練習してきたが、世界に出たときに短距離走のすごい才能をもった人間が多数いて、短距離走の世界では生きられないと悟ったときが該当する。世界的にみるとハードルの選手の人口は少なく、この分野にいけば、その世界で生きられると思った時に、短距離走を諦めるという決断ができる。

トップアスリートの世界では、自分の絶対的な基準ではなく、他の人ととの相対評価によって、成績がきまる。よって、自分の得手不得手だけではなく、相対評価の結果、一番高い評価となる分野を狙う必要がでてくる。

本書では、他者との比較して勝負にならないと感じた時、自分が勝負できる土俵に移動するの重要性が書かれている。自分の才能を中心に考えるのではなく、あくまでも勝負できる場所かどうかという、他者との比較による判断基準だ。

また、才能に焦点をあてて、才能がないことは諦めるべきなのかどうかを、もう少し調べてみたいと思い、この本を読んだあと、下記の本を読むことにしてみた。

読んだ感想は、また記載してみたい。

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