書店のビジネス書コーナーに必ずある黄色分厚い本「ザ・ゴール」!
どこの書店にも置いてある名書です。ただ、この本があまりの分厚いので、私は読むのに抵抗感があったのですが、情報処理資格試験に出題された下記の問題をきっかけに、「ザ・ゴール」を読むことにしました。
平成22年 秋期 ITストラテジスト 午前II 問19
TOC(Theory of Constraints)の特徴はどれか。
ア 個々の工程を個別に最適化することによって、生産工程全体を最適化する。
イ 市場の需要が供給能力を下回っている場合に有効な理論である。
ウ スループット(= 売上高 – 資材費)の増大を最重要視する。
エ 生産プロセス改善のための総投資額を制約条件として確立された理論である
本を読んでいないと解けそうにありません。と思いましたが、選択肢を見れば解答を得るのは簡単です。
アは、部分最適が全体最適にならないことはよく知られておりますので、誤った選択肢とわかります。市場の需要が少ないときは、理論よりも、お客を見つけることが先です。ですので選択肢イも誤りです。選択肢ウの「生産プロセス改善のための総投資額を制約条件」は、一見正しそうですが、ただの予算管理で理論というほどではありません。
となると、答えはウです。問題は正解することができたのですが、そもそもTOCとは何なのかは全くわかっていないので、問題の解説を読むより「ザ・ゴール」を読んだほうが知識が身に付くと思い、ページをめくり始めました。
TOCは制約条件の理論といわれ、以下のサイトの詳しく内容が記載されております。
一部を引用します。
TOC(制約条件の理論)は、部分最適から全体最適を目指している。 従来の経営理論(生産管理理論)では、細分化し、それぞれをコストダウンすることで、全体もコストダウンすると考えられていた。 TOCの理論では、これを否定する。
TOCでは、部分最適から全体最適が必要と説いており、今は常識的な知識となっている。
TOCの理論の特徴は、工場の中の工程(リソース)を、ボトルネックと非ボトルネックに分けることである。 ボトルネックとは、その処理能力が、与えられている仕事量と同じか、それ以下のリソースである。 非ボトルネックでは、逆に与えられている仕事量よりも処理能力が大きいリソースのことである。 ボトルネックを通過するフローを市場からの需要に合わせなければならない。
市場からの需要>ボトルネック
の状態だと、製品の納期はどんどん遅れていってしまいます。市場からの需要とボトルネックの製造処理能力が一致すると、需要に対して、適切な納期で製品を出荷できるようになります。
工場全体の生産能力は、ボトルネックの生産能力により決まる。 それ故に、非ボトルネックを改善して効率が上がったとしても、工場全体の効率には全く影響を与えない。
本の中では工場の話ですが、製造現場以外でも同じことがいえます。会社の実力も同じです。会社の組織の中で、一番弱い部署があるはずで、その部署が会社のボトルネックとなります。例えば、営業が次々受注するが、サービス提供部門のサービス提供が追い付かなかったり、事務部門の請求業務が追い付かないなどはその一例で、ボトルネックの部署の実力が会社の実力となるわけです。
具体的な工場でのTOC(制約条件の理論)は、次の5つのステップのとおり行われる。
1.ボトルネックを見つける。
2.ボトルネックをどう活用するか決める。
3.他のすべてをステップ2の決定に従わせる
4. ボトルネックの能力を高める。
5. ステップ4でボトルネックが解消したら、最初のステップに戻る。
会社の部門や業務などのボトルネックを見つけて、改善していくという方法は、仕事でもかなり応用できそうです。
「ザ・ゴール」は分厚い本ですが、通常のビジネス書とは違い小説風に書かれているから、その分ページ数が増えていいます。難しい学問書のような本ではなく、なにも考えないで読めば工場長を主人公とした小説のようにも思えます。よく売れている本だけあって、かなり楽しく読めました。夢中に吸い込まれるように読んでしまい大変面白かったので、後続のシリーズ全5冊をまとめ買いしました。「ザ・ゴール」は紙の本を購入したのですが、外出時にでも読めるよう今度は電子書籍を購入することにしました。
少しずつ読んでいきたいと思います。
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