単純作業のチェックリストでは意味がない。チェックリストの正しい作リ方[2013-25]

読書
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以前にテンプレート仕事術という本の読書メモを書いた。

短時間で正確に仕事をするテンプレート仕事術!暗黙知を形式知にかえる[2013-20]| NobiLog(のびろぐ)

言語化できていないノウハウ(暗黙知)を、マニュアル、チェックリスト、作業リストなどにまとめることで、言語化し、それらをテンプレートとして仕事を行えば、短時間で正確に成し遂げることができる。これがテンプレート仕事術である。

では、具体的にテンプレート仕事術を実践するにはどうしたらよいか?まずは、テンプレートをつくらねばならない。今回は、「チェックリスト」をどのように作ってみたらよいかを調べるために、「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」という本を読んで調べてみた。

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単純な「チェックリスト」が日常に起きるミスを減らし、災害・事故に際しては人命を救う。絶対にミスの許されない医療現場で著者が辿り着いた真実。経営者、投資家、医師、パイロット、建築家、料理人…、あらゆるプロフェッショナルが信じる成功のエッセンスがここにある。米誌「TIME」の「世界で最も影響力ある100人」に選ばれた著者の提言。

チェックリストとは

仕事をしている人は、なんらかのチェックリストを使ったことがあり、チェックリストの有効性は感じている人が大半だと思う。チェックリストは、複雑で困難な仕事を行うためには必須なアイテムだ。

なぜチェックリストがないと困るのか?本書は2点にあると指摘する。

人間の記憶力と注力の危うさだ

手順を省く誘惑だ。

一言でいえば、人間はミスするからだ。記憶力や注力の問題で意図せず失敗してましったり、面倒と思い手順を省いてしまい失敗してしまったり、とにかく人間はミスする。そのミスを防ぐためには、チェックリストが有効なのだ。

チェックリストには2種類のタイプがある

チェックリストには2種類のタイプがある。

1.主従関係があるチェックリスト

主従関係があるチェックリストとは、本部が考えたチェックリストを現場で使わせるケースで多い。本部で決めたルールや仕組みをしっかりと現場で守ってもらうためのチェックリストのことだ。どちらかという単純な作業用のチェックリストだ。

リスクがある状況では、上層部は権限を集約してしまいたくなりがちだ。だから、上層部の要求を部下に忠実にこなさせる、という目的でチャックリストが使われることも多い。

2.現場のためのチェックリスト

主従関係のあるチェックリストは、現場のメンバーを一定の力まで引き上げる効果があるが、複雑で困難な仕事にはあまり適さない。応用範囲が狭いからだ。複雑で、困難な仕事のチェックリストとは、中央集権的なチュックリストではなく、現場のためのチェックリストでないといけない。

本書では「現場のためのチェックリスト」が重要としており、そのチェックリストの目的は、

チェックリストを通じてチームワークと規律の文化を醸成してもらうことだ。

と指摘する。

チェックリストとは何か?

どのようなチェックリストがよいか。本書から抜粋してみた。

単純だが重要なものの見逃しを防ぐためのチャックリスト。

各自が自由裁量で細かい問題や予定外の事態に対処できるようなチェックリスト

チェックリストは長すぎてはいけない。原則として項目の数は5個から9個にしておくと良い。

飛ばされがちだが致命的な手順に絞るべき。

チェックリストはマニュアルではない

全ての手順を詳細に説明するものではない。

素早く使えて、実用的で、用途を絞ってあるという特性こそ肝要だ。

とくに重要で、省略しがちだが、見逃すと大きな影響をもたらす項目に絞ったチェックリストが必要とのこと。そして、作ったチェックリストは実際に使ってみて、改良を重ねる必要がある。

どの手順が重要でそれがどれくらい忘れられるかというデータを重視する。

必ず実世界で試用する必要があるというのだ。

調査し、改良し、チェックリストが安定して機能するまでテスト重ねる必要がある。

ここが重要だが、チェックリストがあることによって、チーム力が向上して、チームとして最高の結果が残せるようなチェックリストが必要だ。

複雑な状況に対応するためには、各自が自分の業務をこなすだけでなく、チームとして良い結果を出すためにどうしたらいいのかを考えなくてはいけない。

本書の例として記載されているのは、医療現場でのチェックリストだ。

通常、出術室では手術を行う外科医が出術室の中心人物だ。外科医がミスを行うと手術は失敗に終わり、状況によって患者の死につながる。外科医のミスに対して、スタッフが気づいたとしても、それを忠告するできる状況でないことが多い。

そこでチェックリストが必要となる。

「手術を行う医者の行いがすべて正しい」ではなく、「チェックリストにもとづき行動し、判断する」ようにするのだ。

例えば、チェックリストには「出術前に手術患部を確認する」という項目がある。これをチーム全員が認識することによって、手術患部を間違えるという初歩的なミスはほとんどなくなる。

また、手術前に行うチェックをすべて行った後、メスなどの手術道具を覆っている布を看護師が取り除くと、手術がスタートするルールにする。手術スタートを医者が決めるのではなく、医者以外が行うことにする。このことによって、手術医がチェックリストの項目をチェックし忘れるということを防止し、チームメンバーが全員が監視を行うことによって、チームとしてのミスを軽減につながることになる。

手術を行う医者が一人で手術するのではなく、手術室にいる麻酔士、看護師などすべての人が手術を行っているのだという意識を持たせるためにチェックリストを利用するのだ。例えば、チェックリストの読み上げを、チームのすべてで行うことで、「活性化現象」という現象がみられる。

「活性化現象」最初に何かを言う機会を与えられることで当事者意識と責任感が高まり、その後ももっと発言しやすくなるのだ。

チェックに参加することによって、すべてのチームメンバーの士気があがり、チームの成功に向けて一致団結するようになる。

チェックリストの効用を知らない人は、チェックリストがあることによって、チェックリストのみに従ってしまう人間がでてくることを恐れる。ファーストフードの店員がマニュアルに書いたこと以外に応答できるないことを皮肉るケースである。

人々が手順を忠実に守らない理由の一つに、硬直化が怖い、というものがある。機械的にチェックを行っていたのでは現実に対処できなくなる。チェックリストばかり見ていると心のないロボットのようになってしまう、と思い込んでいる。

しかし、実際には異なる。

だが、実際には、良いチェックリストを使うと真逆のことが起きる。チェックリストが単純な事柄を片付けてくるで、それらに気を煩わせる必要がなくなる。

チェックリストがあることで、単純なことに神経をとがらせなくてもよくなり、複雑で困難なことに神経を集中できるようになるのだ。これがチェックリストを使う目的だ。

普段何気なく作ったり、使ったりしているチェックリストだが、その効果は意外と大きい。チームワークと規律の文化を醸成するようなチェックリストを作りたいものだ。

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