日本の職場はリーダシップを発揮しにくいことを最近知った[2013-08]

読書
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人を評価するのは難しい。

新入社員の採用面接、社員の査定面接など人物評価をしなければいけない局面はたくさんあります。社員の査定面接は日頃仕事をともにしていれば、ある程度公平な評価はできていると思うのですが、新入社員の採用面接は、当社にふさわしい人材なのかを、簡単な試験や短い面接時間で判断しなければならず困難です。

採用側にもスキルが必要です。採用のムラをなくすべく採用基準を見直してみようかと思い、本屋にいったところ、この本に出会いました。(購入は電子書籍ですけど・・・。)

本のタイトルは「採用基準」ですが、人事部が読むような内容ではありませんでした。もともとの期待していた内容は採用基準についてでしたが、内容はリーダーシップ論について書かれておりました。期待とは異なりましたが、大変参考になりましたので、リーダーシップについて記載したいと思います。

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リーダーとは何か?

リーダーとは「成果目標を達成するために組織を率いる人」です

まず、この本では、リーダーとは上記のように定義しています。

マネジャーは管理者です。求められる業務は、部下の労務管理であり、組織内の個々の仕事の進行管理や品質管理、そして予算管理です。

リーダーとマネジャーでは役割は異なります。マネジャーは上記のとおり管理中心ですので、複数の部下に対してマネジャーは1名です。

世の中は〝誰かが〟うまくまとめてくれるのではなく、一人ひとりが力を出し合って、うまく回していくものなのです

リーダーはすべての人がリーダーってあって良く、むしろ全員がリーダーであるべきだといっております。

雑用係のことをリーダーと呼んでいるのではないかと思うことさえあります

残念ながら、日本では雑用係がリーダーと呼ばれています。

日本ではリーダーシップが必要とされていない

私は、アメリカ企業(日本法人)と日本企業で働いた経験がありますが、それぞれ文化が大きく異なるように感じます。以下のサイトでも記載があったのですが、意思決定、責任、グループワークに大きな違いがあります。

【カルチャーショック】日本人スタッフがアメリカの職場で感じた10の企業文化の違い | freshtrax | btrax スタッフブログ

1.意思決定のスピード

アメリカでは、どの社員であろうとリーダーシップが求められます。

上司は責任を持って部下に自由を与え、迅速な意思決定を促す。つまり部下にもリーダーシップや決断力が求められることになる。

日本では、あまりーダーシップは求められず、階級をおって意思決定されます。

一般に役職(階級)を追って意思決定がなされていく。(中略)一つひとつの決定はミスが少なく、品質や信頼性は保たれる。

意思決定のスピードはアメリカのほうが断然速いです。日本の場合は、段階を踏んで決定を行っていくので意思決定のスピードは遅いのですが、一方で決定ミスが少ないのというのが日本の特徴です。

2.個人とグループ責任

アメリカ企業では、個人が独立して重要な役割を担う。企業の目的達成のため、個人単位での貢献が求められている。言い換えれば、上司に限らず全員にリーダーシップが求められる。

アメリカでは、すべての人にリーダーシップが求められます。当然、新人でも意見が求められれます。日本企業の会議では、新人は黙っていなければならない雰囲気があり、ほとんど発言はありません。

日本企業でもグループに対する個人の貢献が求められる。一方で評価されるのはグループ単位での成果であることが多く、それにつながらなければ個人の貢献度は評価されない。

日本では、グループに対する貢献が求められます。チーム全体が残業していれば、自分の作業が終了しているのに、残業しなければなりません。グループに対する貢献が求めるのが日本の文化です。

3.グループワーク

アメリカの企業では、定例会議はほとんどありませんでした。必要なタイミングで必要なメンバーでミーティングが開かれます。

ミーティングを効率的に行うこと:少ない回数・短時間でより成果を出すこと—が重要視される。大人数のミーティングは避ける傾向にある。

一方の日本の企業では、定例会議が頻繁に行われ、メンバーも大人数で行われます。大人数の会議では、事前のネゴがなされており、会議を行う前から結論が決まっていることもよくあります。

会議の場では上下関係を鮮明に映し出し、活発に議論しにくい状況がある。

日本の会議では、活発に議論が行われませんが、当然です。会議で議論する前に結論がでているので、議論の必要はありません。また、下の立場の人間は、積極的に議論に参加しにくい雰囲気があります。一方、アメリカの企業では、下の立場でも積極的に議論に参加し、むしろ、議論に参加しなければ、会議に参加する必要がない人とみなされます。

日本企業とアメリカの企業では文化が異なっており、やはり、アメリカの企業のほうがリーダーシップが強く求められていると思います。

リーダーがなすべきこと

「採用基準」に戻りますが、本書では、リーダーのなすべきこととして、いかのように記載されております。

「一人でも助からないならいっそ全員で死のう」ではなく、「犠牲者は出るかもしれないが、一人でも多くを助けよう」と考えるのがリーダーです。「一人でも犠牲者を出したらリーダー失格だ!」と糾弾する人は、同じボートに乗っていない人であり、自分がボートの漕ぎ手になったことのない人です

「全員を助けなければならない」というのは日本的な発想に感じます。これを証明するのが、映画『BRAVE HEARTS 海猿』です。この映画は、ジャンボ機がトラブルにより海上着水してしまい、乗客の救助を行うストーリーです。あくまでも「犠牲者を一人も出してはならなない」という内容で、一人でも犠牲者を出したら、ミッションは失敗なんだ。という感じの映画になっております。

映画『BRAVE HEARTS 海猿』公式サイト

一方の、アメリカのハリウッドのアクション映画は、主人公以外は結構あっさり犠牲者を出します。基本は、主人公とわずかな仲間が助かればよいというストーリーが多いです。例えば、インデペンデンスデイです。主人公以外は結構な数の犠牲者は出ていますが、なぜか主人公は不死身です。

人の意見に従う必要はない

「自分で決め、その結果に伴うリスクを引き受け、その決断の理由をきちんと説明する」ことであって、上司の指示をすべて聞き入れることではなかったのです

アメリカの企業では、年齢、経験、役職に関係なく、さまざま意見を出し合います。さまざまな人が意見をいうと、すべての人の意見を参考にすることは不可能です。ですので、自分にとって一番よいと思った意見や、有効性があると思った意見のみを採用します。決して、すべての人の意見を採用する必要はありません。

日本企業では、上司の意見や指示は絶対です。日本では上司のいった意見を、部下は必ず採用しようと努力します。的外れだった意見であっても、上司のメンツを保つために、上司の意見を採用しようとします。

私は当初このことの気づきませんでした。例えば、私の意見を、無理やり採用して、その結果、失敗しているケースをよく目にしたのです。失敗が明らかであれば、私の意見なんか採用しないと判断すればよいのにと思っておりました。

部下に理由を尋ねると、上司である私の意見なので、その意見を尊重したというのです。驚いた瞬間でした。

リーダーシップは日本とアメリカ企業では大きな違いがあるように思えます。

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