今年度よりプロ野球ファンになった。プロ野球のシーズンが終了したので、プロ野球の本を読み始めた。今回読んだのは「日本プロ野球改造論」だ。この本で、面白いと思ったところを少し書いてみたい。
観客動員数が減り、地上波テレビ中継の視聴率も低迷している日本プロ野球。しかし、 1990年代半ばまで、日本のプロ野球と米メジャーリーグの売上規模はほぼ同じだった。
現在、メジャーは規模を拡大し、日本との差は4倍にも広がっている! その違いはどこにあったのか?高度なビジネスマネジメントでリーグ全体の発展をとげたメジャーと、選手の実力はありながらも各球団が個別に利益を追求してきた日本プロ野球——これは、現在の閉塞する日本産業構造そのものといえるだろう。
ビジネスコンサルタントとして、プロ野球界にかかわってきた著者が、次世代の夢を創るスポーツ=プロ野球の徹底改造論を提案。
本書は、日本の産業が再浮上するための大きなヒントにもなるだろう。
日本のプロ野球とメジャーリーグーの売上規模は、一時期はほぼ同じであったが、年々差が広がっている。日本のプロ野球は各球団が個別に利益を追求した。メジャーは、ビジネスマネジメントでリーグ全体の発展をとげた。この違いだという。
メジャーの試みは面白いものがたくさんある。例えば、「ダイナミック‐プライシング」と「チケットの2次市場」が面白い。
ダイナミック‐プライシング
ダイナミック‐プライシングとは、需要と供給のバランスによって価格を決めることだ。
楽天やソフトバンクなどの一部球団ではダイナミック‐プライシングを採用している。需要が高い試合はチケットの価格も高く設定するのが、ダイナミック‐プライシング。
需要が高くなる要因は2点ある。一つ目は試合そのもの価値が高いと需要は高くなる。もう2点目は、座席の価値が高い席は、需要は高い。例えば、ライトスタンド最前列、バックネット裏最前列などだ。
試合の価値
まずは試合の価値を考えてみる。同じチームの試合であっても、試合の価値は同じではない。例えば、以下のような要素がある。
- 試合開催曜日
土曜開催は価値が高い。学校や仕事が休みなので大人も子供も観戦でき、翌日も休みなので、ナイターでも安心して観戦きる。続いて、日曜日、金曜日、その他の平日と価値は落ちていく。土曜日の試合は人気なので、土曜日の試合のチケットを高くする。または、観客数が低い場合は、平日の試合のチケットを安すれば、観客増が見込めるはずだ。 -
対戦カード
対戦カードによって需要は変わる。例えば、巨人、阪神戦の場合は人気のカードになる。この対戦カードによって値段をかえる方式は、簡単にできるので、ヤクルトなど一部の球団はすでに実施している。 -
連休
ゴールティウィークや夏休みは、子供の思い出づくりに野球をみる人は多い。一年で一番観客数が多い時期は、ゴールティウィークの「子供の日」の前後だ。その時期のチケット価格を上げれば、球団として売上が増える。ただ、ファンが離れる危険性もあるが・・・。 -
重要な試合
チームにとって重要な試合は試合の価値が高い。たとえば、首位攻防、優勝が決まる試合などは試合の価値が高い。一方で、優勝が決まってしまった後の試合は、消化試合となり価値は低い。残念ながら重要な試合は、あらかじめわからないことが多い。特に「優勝が決まる試合」と「消化試合」は表裏一体の関係になる。事前に制御しにくいのが欠点だ。
座席の価値
同じ試合でも座席によって価値は異なる。すべての球団、数種類の座席エリアにわけて、価格を設定している。基本的には、バックネット裏が高く、内野から外野に向かってだんだんと価格は安くなる。
座席エリア毎の価格設定はわかりやすい。しかし、同一エリアといっても、本当は同じ価値ではない。エリア前方列のほうが後方列よりも価値が高いし、通路側の座席も人が高い。座席エリア内はすべて同じ価値ではない。だから、最前列・通路側は人気となり、ヤフオクではチケットの価格よりも高額で落札される。
ジャイアンツのシーズンシートの2階席は、前方列と通路側は割高の価格に設定されている。シーズンシートでは前方列と通路側は割高だが、一般チケットでは通路側でも最前列でも同じ価格で販売されている。その理由は、販売窓口の混乱を防ぐ目的があると思う。窓口販売では、説明に時間かかってしまうので、コストを考えたら、同じ価格にしておいたほうがよいのであろう。
しかし、今はインターネットでチケットを買う時代だから、売るためのコストはあまり変わらない。だから、通路側や最前列はインターネットで販売し、高い値段で売ればよい。私は多少高くても良い席で観戦したい(日もある)。
ジャイアンツのチケットは、ファンクラブやチケットガイドの先行発売で購入することができる。この先行発売は、比較的よい座席(通路側)が割り当てられる。ただ、その代りに、システム使用料など追加費用がかかるので割高になる。これも一種の「ダイナミック‐プライシング」といえるかもしれない。
と、文字数が多くなったので、「チケットの2次市場」については、また別途記載する。
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