JOURNAL OF FINANCIAL PLANNING Vol15 No.158/MARCH 2013 の中の会員投稿コーナーで、「資産運用としての太陽光発電」という記事が掲載されていた。
その記事で、太陽光発電は、
日照時間など条件にも左右されますが、試算では約7-10%超の利回りを見込めるようです。
と記載されている。上記記事では7%-10%の利回りと試算しているようですが、太陽光収益の試算は各種条件の設定次第で、結果が大きく異なることから、試算方法について整理を行ってみた。
太陽光発電の試算方法
太陽光発電の収支を試算するのに主なパラメータは7種類ある。これらのパラメータをどのように決定していくべきかをまとめていきたいと思う。
- 工事費用
- 発電量
- 補助金(国、県、市区町村)
- 予想発電量(自己消費分)
- 予想劣化率
- 売電単価と自己消費電力単価
- 資産期間
工事費用と発電量
まずは、工事費用と屋根に設置できる太陽光パネルの発電量を知らねばならない。
- メーカー毎パネルの大きさは異なる
- パネル1枚あたりの発電量も異なる。
- パネルあたりの単価も異なる。
- 屋根の大きさも、形状、向きなどが家毎に異なる。
- 業者によって、工事価格が異なる
上記のような要素があるので、我が家の屋根にどの程度の太陽光パネルを設置できるのかは、素人では想像が難しい。これらのパラメータは業者からの見積もりをもらう必要がある。
業者に見積もりを出してもらえば、「A社の太陽光パネルの場合は2.796kwのパネルを140万。B社の太陽光パネルの場合は2.22Kwで128万円かかる」というような情報を得られるはずである。
補助金
設置する太陽光パネルの発電量(2.796kwとか2.22Kw)がわかれば、補助金の金額はほぼ確定する。
補助金は、国、都道府県、市区町村からもらえる可能性があり、都道府県ごとに補助金額が異なったり、市区町村は年度初めで補助金の予算を使い切り、補助金の受付を停止していたりする可能性があるので注意が必要である。
また、補助金の金額は年度によって異なるので、こちらも確認が必要である。
国の補助金
国の1kW当たりの補助対象経費は2万円である。
平成25年度 補助金制度の概要[J-PEC 太陽光発電普及拡大センター]
東京都
東京都の1kW当たりの補助対象経費は10万円。支援策(補助金)|東京都環境局 地球温暖化対策
市区町村
市区町村の1kW当たりの補助対象経費は2.5万円。2013年度町田市住宅用自然エネルギー利用機器等(住宅用太陽光発電システム等)設置補助金のご案内/町田市ホームページ
予想発電量
自宅の屋根に設置した太陽光パネルが、年間にどの程度の発電をするかを予想するのは難しい。屋根の向き、角度、日照時間、晴天率などの要素を考慮しなければならない。
一つの方法として、メーカーから発表している推定発電量が参考になる。例えば、Panasonicでは、以下のページで発電量の目安を発表している。
発電量はどれくらい? | 太陽光発電って何? | 住宅用太陽光発電システム | 太陽光発電・蓄電システム | Panasonic
この数値をもとに、発電量を予想するのも一つの方法である。
予想劣化率
太陽光パネルなどの部材は、経年とともに性能が劣化する。
Wikipeidaによると、
性能低下速度の中央値は0.5%/年、平均値は0.8%/年と報告されている
0.5%計算だと、20年でおよそ10%の経年劣化、0.8%計算だと、20年でおよそ15%の経年劣化という計算となる。
売電単価と自己消費電力
2013年度の売電単価は38円と決まっている。導入年度ごとに単価が異なるので確認が必要だ。
売電は、作った電気を全部売れるわけではない。作った電気のうち、自己消費をして残った電気のみを売ることができる。売電単価は買電単価よりも高く設定されているので、なるべく自己消費せずに、売電したほうが得になる。
試算期間
こららのパラメータを試算を行うのだが、試算するための期間を決める必要がある。おそらく10年または20年という期間で試算することが一般的だ。
その際に気を付けるポイントが、20年以内に部品交換しなければならないので、メンテナンス費用を見込んでおくことが重要だ。
太陽光パネルは20年持つとされているが、パワーコンディショナーは10年程度で交換になるとのこと。メーカーの希望小売価格は30万円程度するので、試算の際には考慮に入れる必要がある。
最後に・・・・
最後に忘れてはいけないのは除去費用だ。いずれは太陽光パネルは寿命を迎え、取り外し、廃棄、屋根のかわらの再整備などが必要となる。試算する場合は考慮に入れておくべき項目だ。