褒めたほうが育つ、褒めないほうがよい?

読書
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「褒めて育てよ」とよくいわれる。一方で、「褒めるのは良くない」と読み取れる文章も見かける。


例えば、ディスカヴァー・トゥエンティワン出版社の「「学力」の経済学」には、下記のような記載がある。

「学力」の経済学

「あなたはやればできるのよ」などといって、むやみやたらに子どもをほめると、実力の伴わないナルシストを育てることになりかねません

とある。

この文章を読むと、あまり褒めないほうがよいと思えてしまう。「むやみやたら」という部分の意味が、「回数として沢山褒めすぎる」と解釈できてしまい、ならば、「なるべく褒めるべきではない」というマインドになってしまう。

しかし「むやみやたら」というのは、回数をさすのではなく、「褒める対象を間違えて子どもをほめる」という意味のようだ。

例えば、能力を褒めると。

「子どものもともとの能力(=頭のよさ)をほめると、子どもたちは意欲を失い、成績が低下する」

とある。褒めると育つのではなく、成績が低下するという望む結果と真逆の効果になってしまう。それはなぜなのか?

「 頭がいいのね」ともともとの能力をほめられた子どもは、2回目の難しめのIQテストを受ける際、この試験のゴールは「何かを学ぶこと」ではなく、「よい成績を得ること」にあると考え、テストでよい点数が取れなかったときには、成績についてウソをつく傾向が高いことがわかったのです

能力を褒めると、結果だけを褒められてると解釈してしまう。結果を褒めると、結果がでなかった場合に、期待にこたえられなかったと思い、

・もっと頑張ろうと奮起する

ならばよいが、期待と結果が大きく乖離しはじめると、

・できなかった言い訳を探したり、
・結果を隠したり、
・結果を嘘ついたり

マイナス行動を起こすようになる。

しだいに意欲がなくなり、本当に成績が低下してしまうようだ。

褒めたら嘘をつくようになってしまっては、本末転倒だ。

では、どうしたらよいのか?

子どもをほめるときには、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げることが重要です

好ましい行動を具体的に褒めるるのがポイントです。「頭がいいのね」や「あなたはやればできるのよ」は、行動以外のところを褒めているからダメなのだ。

  1. 「(考え、気持ち、才能)」が「行動」をおこす
  2. 「行動」が「結果」をもたらす。

そこで、「(考え、気持ち、才能)」や「結果」を褒めるのではなく、「行動」を褒めれば、その「行動」を継続する力を与えられる。よい行動は、良い結果を産み出す。という図式だ。

結果は、行動の結果でしかない。良い行動は、長期的な視点では良い結果を生み出すが、必ずしも短期的に良い結果を生み出すとは限らない。結果を褒めてしまうと短期的な視点になりがちだ。

だから、結果を褒めずに、良い行動を褒めたほうがよい。

褒めるということは、好ましい行動を継続させる効果があるのだから。

「学力」の経済学

「学力」の経済学は、教育にもエビデンスが必要だ。教育専門家の主観的な意見や、子供を東大に入学させた親の教育論ではなく、統計的な裏付けがとれた教育が必要という主張が面白かった。

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